Ojisanが哲学する

京大在学中に英語講師をしていたojisanが、人間や社会について偉そうに論じています。趣味は英語で英検1級です。

エピクロスの間違いについて

エピクロスという昔の哲学者がこんなことを言ってました。

「死を恐れる必要などない、なぜならば、我々が生きている間は死は訪れないから。そして死んでしまったら我々には感覚がないから、死を体験することはできないから。」

これはなかなかもっともらしい意見です。

たしかに、生きてる間には死ぬことはなく、死んでしまったら意識はないわけですから、エピクロスの言っていることは理解できます。

しかし、エピクロスは「人間の時間意識」についての考察が少し甘いと思います。

人間は、過去と現在、現在と未来を観念の世界でつなげます。

われわれは「今」を生きてるだけではなく、「今」と同時に「未来」も同時に生きています。

例えば、
1年後に結婚する
1年後に試験に合格する
1年後にニューヨークに赴任する
etc

こういったことを思い浮かべている時、われわれは今を生きながら未来も生きています。

人間は想像の世界で過去も未来も生きられる存在です。

ですから、「死」を経験することはできなくても、死ぬことを想像することはできますし、「自分が世界から消えてしまう」ことをありありとイメージできます。

そのように考えたときに、エピクロスが言うような「死んだら死を経験できないから、死を恐れる必要はない」という言説は、あまりにも人間の時間意識や存在について理解が浅過ぎると思います。

人間は、死を知りながら生きる唯一の動物だと言われています。

人間は生きている間にも死を観念することができ、それがまさに「人間の生き方」なのでしょう。

死について、でした。